この度、THE CLUBは、ジャッキー・サコッチオのアジア初となる個展「Unbearable Lightness-堪えがたいほどの光」を開催いたします。
現在ニューヨークとコネチカットを拠点として活動する彼女の作品は、メトロポリタン美術館やダラス美術館をはじめとする世界各国の美術館に収蔵されています。
サコッチオは、絵の具を滴らせた二つの巨大なキャンバスを、引きずり、刷り合わせることにより、キャンバス上に偶発的な網目模様を生み出します。これは不確かな自然のさまや、人間の心理をあらわしているかのようであります。さらにサコッチオは、そこに人工的なピクセル状の上塗りを重ねます。サコッチオの作品において、キャンバスは描かれるものであると同時に、描くものでもあるのです。また、キャンバスによって生み出されるきわめて自然的な網目模様と、人工的なピクセル状の上塗りは、まるで互いに反発しあうかのように、絵画と鑑賞者の間の緊張感を生み出します。
J.M.W. ターナーの難破船の比喩、ジャン・デュビュッフェの生の筆致、白髪一雄をはじめとする具体のパフォーマンスペインティング、そしてヘレン・フランケンサーラーの荘厳さに影響を受け、サコッチオは自然と規律の関係性をよりいっそう鮮やかに描きだします。
本展覧会では、その身体的で激しい技法とは裏腹に、いくつもの絵の具の層が織り成す、光り輝く11点の新作と、2点の版画をご紹介いたします。