この度、THE CLUBはコア・ポアの日本初の個展となる「Returnee」を開催いたします。
本展覧会では複数のシリーズを含む新作をご紹介いたします。
ポアは、イラン系イギリス人の父を持ち、現在はロサンゼルスを拠点として活動しています。
ペインティングと版画を主として制作するポアは、絵画史をフレームワークとして扱うことで、文化の交流から生まれる様々なものを模索し、ペインティングという手法に内在する創造性と異種交配の可能性を探求しています。ポアの作品には、ペルシャのミニチュア絵画や浮世絵、アメリカの抽象表現主義、東洋の山水画といった、多種多様なイメージと文化への参照が含まれています。こうした要素を出発点として展開される各シリーズにおいて、元となるイメージはアーティストによりリミックスされることで、鮮烈で複雑で重層的な絵画表面を生み出しています。
ポアにとってあらゆる制作のプロセスは、思い通りに絵画を実現するための手段であるだけではなく、特定の創作技法の歴史が持つ伝統と繋がるための回路でもあります。これは 「ジャポニズム」についての研究から生まれた、浮世絵の手法による作品にも見出すことができます。このシリーズで、ポアは浮世絵の制作に用いられる技法とイメージを組み合わせつつ、西洋のモダニズム芸術の伝統に由来する、より大型のキャンバス絵画を制作しています。組み合わされることで様々な美術史へとつながっていくイメージとプロセスは、文化の交わりを芸術的な革新性を導くものとして提示するとともに、ただひとつのオリジナリティが存在するという考え方を攪乱しようとしています。
作家自身の多国籍的な経歴、そして、人と物とイメージの交差をめぐる、よりダイナミックな歴史への関心を反映したポアの作品は、その豊かな色彩と力強い構成、そして多様なプロセスを通じて、どれも活き活きとしたエネルギーを湛えています。