待宵。
俳句の世界では、十五夜の満月の前夜十四夜を、待宵の月として愛でる習慣があります。
満つれば欠ける世の習いという言葉があるように、日本には、物事は最高潮の状態に達すると同時に下り坂になり、同じ状態は長くは続かないという感性があります。だからこそ、完璧な状態よりもその少し前を愛でる。これは移ろいゆく自然、季節のなかに身を置いて来た日本人ならではの美意識ではないでしょうか。不完全なもの、不規則なものに美を見いだすことは日本独特の感性といえます。対して、西洋には黄金比のような安定したもの、対称性に美を見いだす感性があります。そのような中でアーティストたちは、より優れた作品、今迄の作品を超える作品を目指しながら、葛藤し、常に完全性と不完全性の狭間で美を追及しているように思えます。
今回、THE CLUBでは、西洋と東洋、コンテンポラリーアートと古美術を組み合わせ、異なった要素の中に共存する普遍的な美しさを提案します。