この度、THE CLUBはオリバー・ビアの個展「Ghost Notes」を開催いたします。
2019年のニューヨークのメトロポリタン美術館での個展を経て、新たな作品を二部構成で紹介します。「Ghost Notes (Part 1)」は、音楽とハーモニーのもつ普遍的な特徴がいかに文明や時代を超えた様々な文化を結びつけているかを探究した、平面作品を紹介。2021年7月に予定されている「Ghost Notes (Part 2)」は、体験型のインスタレーションの展示となります。
「Ghost Notes (Part 1)」では、ヴァイオリン、音叉、色鉛筆、蝶貝の輝く破片、メトロノームなどを、ビアが「二次元彫刻」と呼ぶ、まるで絵画のような作品へと進化させます。実物を精確な角度で切断したものを、それぞれ断面だけが見えるように樹脂の固まりに埋め込みます。それらをさらに完全に平坦な絵画平面になるまで研磨し、制作しています。この独自の制作方法によって絵画と彫刻の両方をひとつの作品のなかへと落とし込みます。立体は平面となり、複数の視点が同時に知覚される「物質的キュビズム」のようなものとなります。ビアによればこうした物質による直接的な伝達は、音の伝達と同じ仕組みよるものであり、まるで「耳で見て、眼で聴く」ように表層を越えて世界を知覚することを可能にします。「ゴースト・ノート」とは多くの場合、ほとんど聞こえないほどに抑えて奏でられる音を意味する音楽用語です。本展覧会では、マルセル・デュシャンが「網膜的芸術」と呼んだ視覚の一般的な限界の先にある世界へと人々を誘い、物質界に内在する音楽性を感じさせてくれます。
「音とは、形態、時間、幾何学、空間に依存する彫刻的な存在です。私たちが純粋に視覚だけで捉えていたら見逃していたはずのものが、音響という観点から物体を見るとき、現れてくるのです。」―オリバー・ビア
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