この度、THE CLUBは東京生まれの若手イギリス人アーティスト、ニコラス・ハットフルの個展「Thermals of the Heart-こころの温度」を開催いたします。
現在、ロンドンを拠点として活動しているハットフルの作品は、ロンドンのサーチギャラリーや、ローマのジョルジュ・ エ・イザ・デ・キリコ財団、ローマ現代アート美術館(MACRO)など多数の美術館で展示されています。ハットフルはiPadで描いたスケッチをキャンバスに油彩で描き、スプレーペイントを駆使して、力強さと透明感が共存する作品に仕上げています。
幾度も思い起こされるうちに、次第にその輪郭は溶けるように淡く変化しながらも、忘れ去られることなくとどまり続ける記憶の断片たち。その儚くも鮮やかな心象風景は、ハットフルの手によって、幻想的に描き出されます。また、東京で生まれたハットフルは自身が大きく影響を受けたものの一つとして、飾り気のない日常を繊細に映し出す、小津安二郎の映画を挙げています。
「小津のカラー映画こそが、掛布団やシーツ、タオルといった私の日々の記憶に散らばる様々なイメージの源泉なのです。風が草木をざわつかせ、洗濯物はまるで生きているかのように風に踊る。それは、小津安二郎の映画の場面の移り変わりの中で幾度となく現れるさりげない光景なのです。」
アジア初の個展となる本展覧会では、今回の展覧会の為に制作された14点の新作をご紹介いたします。ニコラス・ハットフルが生み出す、夏の蜃気楼を見ているかのようなシュールでカラフルな絵画をどうぞお楽しみください。